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アトピー性皮膚炎の注射薬(デュピクセント)についての当院の考え方

外来で「アトピーに効く注射があるらしい」とうかがうことが増えました。テレビやネットで見た、という方もいらっしゃいます。

先にお伝えします。デュピクセントは当院でも使っています。ただ、最初の一手ではありません。土台になるのは、今も昔も毎日の塗り薬です。

どんなお子さんに向いていて、どんなときはお勧めしないのか。ここでお伝えします。

土台は、毎日のスキンケアと塗り薬です

お子さんのアトピー性皮膚炎の治療は、毎日のスキンケアと塗り薬(外用療法)が土台です。ここは今も昔も変わりません。

まず肌をきれいな状態に戻し(寛解導入)、落ち着いたあとも塗り薬を計画的に続けて良い状態を保つ(プロアクティブ療法)。これをきちんと行えば、ほとんどのお子さんは症状が落ち着きます。

近年はステロイド以外の塗り薬(モイゼルト、コレクチム)も小児で使えるようになり、塗り薬でできることは広がっています。

「塗っているのに良くならない」ときは、まず塗り方を

そうご相談をいただくと、多くはこの3つのどれかに当てはまります。

  • 塗るのが1日1回になっている
  • 塗る量が少ない(目安は「ティッシュが張り付くくらいべったり」です)
  • 良くなるとすぐやめて、また悪くなってから塗る、を繰り返している

つまり、薬が効かないのではなく、塗り方で効果が出ていないことが少なくありません。まずはここを一緒に見直すところから始めましょう。

デュピクセントはどんなお薬ですか

デュピクセント(一般名デュピルマブ)は、かゆみや炎症に関わる体内の信号(IL-4、IL-13)の働きを抑える注射薬です。健康保険が使えて、日本では生後6か月以上のお子さんから使えます。

体重に応じて、2週間または4週間に1回、皮下注射をします。病院で打つほか、ご家族が自宅で打つ「自己注射」もできます。導入から自己注射の指導まで行っていて、すでに何人かのお子さんに使っていただいています。

副作用としては、注射した場所の赤みと、目の充血・かゆみ(結膜炎)が知られています。

使っている間だけ効く、という点は知っておいてください

ここが今回いちばんお伝えしたい点です。

デュピクセントは、使っている間は多くの方で症状が落ち着きます。ただし、体質そのものを変える薬ではありません。注射で炎症の信号を抑えている間だけ、症状が出にくくなります。いわゆる対症療法です。

そのため、やめるとしばらくして再び悪くなる方が多いのが実際のところです。

もうひとつ。注射を始めても、スキンケアと塗り薬はやめられません。 デュピクセントは塗り薬に上乗せする治療で、塗り薬の代わりにはなりません。

費用は、助成が終わったあとが問題になります

デュピクセントは高価な薬です。

2026年9月現在の薬価は、300mgの注射1本が約5万4千円。成人と同じ量(2週間に1本)を使うと、薬剤費だけで4週間あたり約10万7千円かかります。健康保険の3割負担で、月に約3万2千円、1年間で約38万円です。体重の軽いお子さんは4週間に1本で済むため、その半分程度が目安になります。いずれも薬剤費のみで、診察料などは別にかかります。

横浜市にお住まいのお子さんは、小児医療費助成(医療証)の対象になっている間、保険診療の自己負担が助成されます。横浜市では令和8年6月から、対象が18歳になった後の最初の3月31日まで、つまり高校を卒業するまでに広がりました。

問題はその後です。助成が終わると、上に書いた自己負担がそのままご家庭にかかります。月3万円台という金額は、一般的な所得区分では高額療養費制度の上限に届かないことが多く、制度で軽くなりにくい金額です。対症療法である以上、続けている限りかかり続けます。

ですから、始めるときにはいつまで続けるか、どうやって減らしていくかを最初から一緒に考えるようにしています。助成のある間に塗り薬でコントロールできる状態に戻しておくことが、将来の負担を減らします。

こんなお子さんにお勧めしています

  • 適切な量と回数で、半年以上しっかり塗り薬を続けても、どうしても症状が収まらない
  • かゆみで眠れない、掻き壊しが治らないなど、生活に支障が出ている
  • 生後6か月以上で、定期的に通院できる

逆に、塗り薬の量や回数がまだ十分でない場合は、注射の前にまず塗り方を整えることをお勧めします。そのほうが早く、そして安く、良い状態にたどり着けることが多いからです。

受診のしかた

受診はすべて予約制です。受診の際はWeb予約をお取りいただき、あわせてWeb問診の入力をお願いします。初めての方もWeb予約から登録できます。

初診の方は、まず一般診療を受診してください。診察のうえ、継続的なフォローをご希望の方には、アレルギー外来の次回予約をこちらでお取りします。

ご相談のときは、今お使いの塗り薬(お薬手帳)と、できれば肌の状態が分かる写真をお持ちください。話が早く進みます。

受診時の持ち物

  • マイナ保険証(または資格確認書)
  • 乳児医療証(小児医療証)
  • 母子手帳
  • お薬手帳
  • (あれば)肌の状態の写真

最後に

アトピー性皮膚炎は、正しいスキンケアと塗り薬を続けることで、ほとんどのお子さんが落ち着いた状態を目指せる病気です。デュピクセントは、それでもどうしても収まらない方のための大切な選択肢であって、最初から頼る薬ではない。これが当院の考え方です。

「塗り薬を頑張っているつもりだけれど、これで合っているのか分からない」「注射を勧められたけれど迷っている」。そんな段階でのご相談も大歓迎です。

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