こんにちは。
朝晩は涼しくなってまいりましたが、日中はまだ暑い日もあり、体調を崩されるお子さんも見受けられます。体調管理にはくれぐれもお気をつけください。
さて、食物アレルギーのあるお子さんをお預かりしている園や学校の先生方から、「エピペンの研修をしてもらえないか」というご相談をいただくことがあります。
当院では、園・学校・施設の職員の方に向けたアレルギー対応研修を、2013年から13年にわたってお受けしてまいりました。今回はその内容と、お申し込みの方法をまとめておきます。
園・学校からのご依頼は、受診歴を問わずお受けしております
当院ホームページの「こどもの病気を学ぶ」のページでは、これまで院内で開く保護者教室を中心にご案内しておりました。そのため「当院を受診されているご家族が対象」と受け取られ、園や学校からはお声がけしづらかったかもしれません。
園・学校・施設からのご依頼については、受診歴は問いません。当院に通っているお子さんがいらっしゃらない園・学校からのご依頼も、これまで同じようにお受けしてまいりました。
これまでうかがった先は、小学校・中学校・高等学校、幼稚園・保育園、保育ボランティア団体、地域の子育て施設、薬剤師会、医師会、自治体の出前講座などです。新型コロナウイルスの影響で中止した2020年を除き、毎年おうかがいしております。ある小学校には2015年から続けてうかがい、これまでに9回になりました。同じ学校に何度も入ることで、その学校の実情に合わせて内容を変えていけるのが強みだと考えております。
研修は「1回目」と「2回目以降」で内容を分けております
院長は小児科専門医・アレルギー専門医であると同時に、学校医・園医を務めており、熊本大学大学院で教授システム学(教育工学)の修士を取得しております。「どう教えれば、現場で実際に動けるようになるか」を専門として学んでまいりました。
そのため、研修は「話を聞いて終わり」にはいたしません。ただし、初めて受けられる方と、すでに受けたことのある方とでは必要な内容が違いますので、当院では次の2段階に分けてご提案しております。
1回目:最小限の講義とグループ学習(アレルギー対応研修が初めての職員の方が中心の場合)
読めば分かる知識は、事前学習用のプリントを1週間ほど前にお送りし、あらかじめ目を通しておいていただきます。当日はその「おさらい」に絞り、講義は最小限にとどめます。残りの時間は、参加された方が手と口を動かす時間に充てます。
- ビデオを見てグループで議論 — 実際の場面の映像をご覧いただき、「このとき自分ならどうするか」をグループで話し合っていただきます
- 判断の練習 — 「この症状ならエピペンを使う/様子を見る」を、その場で一つずつ判断していただきます
- 実技 — エピペン(アドレナリンの自己注射薬)とネフィーの練習用の器具を、2人1組で実際に使っていただきます
時間は60〜90分をお勧めしております。受講のご経験がある職員の方が中心の園・学校では、45分(職員会議の1コマ)に組み直すこともできます。「職員会議で45分しか取れない」というご相談をよくいただきますので、まずは取れる時間をお聞かせください。
2回目以降:シミュレーション研修(一度受けていただいた園・学校向け)
講義と実技を一度受けていただいた園・学校には、発展編として90分のシミュレーション研修をご提案しております。こちらは受講のご経験がある職員の方を対象とした内容です。
- シミュレーション — 発見者・連絡・記録・準備・管理職といった役割を分担し、その園・学校の実際のマニュアルに沿って動いてみます
- 振り返り — やってみて気づいた点をもとに、その場でマニュアルの改訂案を検討します
この振り返りが、特に大切だと考えております。実際に、ある小学校では研修で出た「手順を時系列に並べ直す」「図(チャート)にする」というご意見が、翌年度のアレルギー対応マニュアルの改訂にそのまま反映されました。研修が、その園・学校の備えを一段階進めるきっかけになります。
ネフィー(アドレナリンの点鼻薬)にも対応しております
2026年2月、国内で初めてのアドレナリンの点鼻薬「ネフィー」が発売されました。注射ではなく鼻に噴霧するお薬で、常温で持ち運べるため、校外学習や遠足との相性が良いお薬です。
そして2026年4月には、学校や園などでアナフィラキシーショックを起こしたお子さんについて、一定の条件を満たす場合には、教職員の方が本人に代わってネフィーを使っても差し支えない(医師法に違反しない)という整理が国から示されました(令和8年4月16日付の事務連絡)。エピペンと同じ建て付けです。
条件のひとつに「あらかじめ医師から書面で指示を受けていること」があります。当院で処方を受けているお子さんについては、園・学校にお渡しいただく書面もあわせてご用意いたしますので、診察の際にお申し出ください。
当院の研修では、2026年7月からエピペンとネフィーの両方を扱っております。1回目の実技ではネフィーの練習用の器具も使っていただきます。2回目以降のシミュレーション研修では、「ネフィーを持っているお子さんがいるけれど、現場でどちらをどう使えばいいのか」という、今まさに現場で起きている迷いを体験していただけます。
学会でも継続的に報告しております
研修の設計と実施の結果は、学会で報告させていただいております。
- 2013年 日本アレルギー学会(「インストラクショナルデザインを用いた保護者教育:食物アレルギー教室の試み」「同:食物アレルギー教室改善の試み」「同:ピークフローメーター独学教材の作成」の3演題)
- 2013年 日本医療教授システム学会(上記の食物アレルギー教室の内容を同学会でも報告)
- 2025年11月 第56回全国学校保健・学校医大会
- 2026年3月 日本医療教授システム学会学術集会
- 2026年4月 第129回日本小児科学会学術集会
- 2026年7月 第42回日本小児臨床アレルギー学会
2026年7月の発表につきましては、座長の先生のご推薦により、学会誌への論文投稿のご依頼をいただきました。
一つの園・学校での研修をその場限りで終わらせず、他の園・学校でも使える形にまとめていくことを心がけております。
親御さんへ:エピペンやネフィーを園・学校に預けるときに
園・学校にエピペンやネフィーを預ける場合は、学校生活管理指導表にその旨を記載したうえで、保管場所や使用の判断について、あらかじめ園・学校と打ち合わせておくことが大切です。
なお、学校生活管理指導表などの診断書は、診察当日にその場ですぐ発行できるとは限りません。提出期限の1週間以上前を目安に、余裕をもってご来院いただけますと幸いです。
お申し込み・ご相談
日程・時間・参加人数をお知らせいただければ、その園・学校に合わせた内容をご提案いたします。通常の診療の都合がありますので、ご希望の日から2〜3か月ほど余裕をもってご相談いただけますと幸いです。
- お電話:045-983-1018(診療時間内にお願いいたします)
- うかがえる範囲:神奈川県内を目安とさせていただいております
- 講師料:ご相談に応じます
「何を頼めばいいか分からない」という段階でも構いません。どうぞお気軽にご連絡ください。
今後とも十日市場こどもクリニックをよろしくお願い申し上げます。
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