こんにちは。
厳しい残暑が続いておりますが、皆様お変わりないでしょうか。
体調管理にはくれぐれもお気をつけください。
さて、今回は少し医療制度のお話です。
市販薬(OTC医薬品)に似た処方薬の窓口負担が見直される予定であることを受け、当院院長が小児科・アレルギー科の専門医の立場で、厚生労働省の意見公募(パブリックコメント)に意見を提出しました。
お子さんの治療、とくにアトピー性皮膚炎の保湿剤に関わる内容ですので、概要をお知らせしておきます。
何が変わる予定なのか
- 2027年(令和9年)3月から、市販薬と成分・用量が変わらない処方薬(いわゆる「OTC類似薬」、77成分・約1,100品目)について、薬剤費の4分の1を追加でご負担いただく仕組みが始まる予定です。
- 解熱鎮痛薬、痰のお薬、便秘のお薬、抗ヒスタミン薬(アレルギーのお薬)、保湿剤など、小児科の外来で日常的に処方するお薬が多く含まれます。
- 一方で、こども、がん患者さんや難病患者さん、低所得の方、入院中の方、医師が長期の使用を必要と判断する場合などは、追加負担の対象外とする方針が示されています。
- 詳しい線引き(例えば「こども」の年齢範囲)はまだ確定しておらず、検討が続いています。国は今年8月に検討状況を「中間とりまとめ」として公表し、現在、広く意見を募集しています(8月20日まで)。
当院が意見を提出した理由
アトピー性皮膚炎の治療は、保湿剤で皮膚のバリアを整えることが土台になります。
症状が良くなってからも保湿を続けることで再発を防ぎ、ステロイド外用薬の使用量を減らせることが、国内の診療ガイドラインにも示されています。
乳幼児では全身に毎日塗るため、1か月に100g以上の保湿剤が必要になることも珍しくありません。
もし費用の心配から塗る量が減ってしまうと、湿疹の悪化に直結します。
さらに、荒れた皮膚からアレルゲンが入り込む「経皮感作(けいひかんさ)」は食物アレルギー発症の主要な経路と考えられており、乳児期のアトピー性皮膚炎を早くしっかり治療したグループでは鶏卵アレルギーの発症が少なかった、という国内の臨床研究も報告されています。
こうした背景から、「保湿剤が出しにくくなる運用にならないように」という点を中心に、次のような意見をお送りしました。
1. こどもは確実に負担の対象外に
年齢の範囲(少なくとも高校生年代まで)を早く明確にし、窓口で自動的に判定される簡単な仕組みにしていただきたいこと。
2. アトピー性皮膚炎の保湿剤が制度の隙間で負担にならないように
病名の付け方や「1年を通じて毎日使っているか」といった形式的な条件によって、同じお子さん・同じ治療でも負担の有無が分かれてしまわないようにしていただきたいこと。
3. 18歳を過ぎた後も治療が途切れないように
小児期から治療を続けている患者さんが、進学・就職の時期に治療を中断せずに済む配慮をしていただきたいこと。
4. 誤解による受診控えが起きないように
「こどもは対象外」であることを保護者の皆様に分かりやすく周知し、制度が始まった後も、子どもの受診や治療への影響をきちんと検証していただきたいこと。
保護者の皆様にお伝えしたいこと
- 現時点で窓口負担は何も変わっていません(開始は2027年3月の予定です)。
- こどもは追加負担の対象外とする方針が示されています。「処方してもらえなくなる」「市販薬で済ませなければならない」という制度ではありません。
- 保湿剤を含め、治療に必要なお薬はこれからも診察のうえで処方します。ご不安から受診を控えることのないようお願いいたします。
- 制度の詳細が決まりましたら、改めてこのブログでお知らせします。
ご意見は8月20日まで、どなたでも提出できます
この「中間とりまとめ」については、厚生労働省が国民からの意見を公募しています。医療者に限らず、保護者の立場からも提出できます。
- 案件名:「OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた中間とりまとめ」に関するご意見の募集(案件番号 495260126)
- 受付期間:令和8年(2026年)8月6日(木)から8月20日(木)まで
- 提出先(アドレス):電子政府の総合窓口 e-Gov の意見提出フォーム
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/2010 - 提出方法:上記フォームからの送信のみです。今回、意見受付専用の電子メールアドレスは設けられていません。
- 入力時の注意:氏名・連絡先の入力が求められます(公表される際は氏名・連絡先は除かれます)。また、丸数字やローマ数字などの機種依存文字が入っているとエラーになります。当院院長も丸数字1文字でエラーになり、直して再提出しました。
なお、同じ文面での大量提出は件数としては扱われない旨が案内されています。
日々の受診で感じておられることを、ご自身の言葉で書いていただくほうが届きやすいと思います。
最後に
当院は引き続き、十日市場の小児科・アレルギー科として、お子さんの皮膚とアレルギーの治療に必要な医療が届くよう努めてまいります。
気になる症状やご不安があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
今後とも十日市場こどもクリニックをよろしくお願い申し上げます。
関連リンク
参考リンク(制度について)

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