こんにちは。
いつの間にか大晦日になってしまいました。
十日市場こどもクリニックの内装工事も始まりました。今はまだ白いシートに囲まれて中が見えないようですが、春になれば中が覗けるようになるかもしれませんね。
さて、今回は十日市場こどもクリニックで出来ることその2:食物アレルギー診療についてです。
食物アレルギー診療のポイントを書くと以下の3つになります。
1. 赤ちゃんの湿疹はなるべく早く、しっかり治したい
10年近く前から言われ始めた話ですが、赤ちゃんの肌が荒れていると、肌から直接食べ物が体に吸収されやすくなります。そうなると食物アレルギーが起きやすくなるというのです。
逆に、食べ物を口から食べて吸収されると食物アレルギーが起きにくくなると言われています。現在、専門医ではアレルギーがある食べ物でも適切な量(これが大事!)を少しずつ食べ続け、増やすことによりたくさんの量が食べられるようになるという治療が行われるようになっています。
まず皆さんが出来ること、お願いしたいことは「赤ちゃんの湿疹はなるべく早く、しっかり治しましょう」ということになります。
赤ちゃんの湿疹が出てきて、顔や首が紅くなって気になるようでしたら近くの小児科でも皮膚科でも結構ですので是非受診し、相談してください。
※余談ですが、院長自身は「迷ったときに念のため受診」というのは基本的に良いことだと考えています。今時はネットで情報を集めることが出来ても、どの情報が正しくて自分のお子さんに当てはまるかわかりにくい時代です。かといって周りに気軽に相談できる方も少なくて困っているというご家族もよく見受けます。そういう場合はまず小児科、当院で相談してもらっても構いません。結果的に何でも無い、様子を見て良いからそれに超したことはありません。
その代わり、その経験からご家族は子育てについての知識を学んでいただきたいと思いますし、「保護者が学ぶためのお手伝い」を当院ではしてきたいと考えております。
2. 食べ物の制限はなるべく少なくする:「必要最小限の食物除去」
10年以上前は食物アレルギーが疑われるととにかく食べるのをやめておく、そうすればそのうち治る、、、といわれていました。しかし、現在ではこの考えはほぼ否定されています。
逆に、例えば生卵丸ごと1個食べるとアレルギー反応で体が紅くなったり咳が出るお子さんでも、火が通った卵がわずかに含まれる卵ボーロや揚げ物の衣程度だったら食べても症状が出ない方が多いです。食べても症状が出ないと分かっている量であれば少しずつでも食べておいた方が食物アレルギーが治りやすい、というのが最近の考えです。
つまり、食物アレルギーに関しては10年以上前の「常識」が逆転しています。
3. 食べられるかどうかは結局食べてみないと分からない:経口食物負荷試験
食物アレルギーを疑った場合に一番大事なのは病歴、つまり「いつどんな物を食べて、その何分後にどんな症状が出たか」ということです。実際に食べたものの献立、成分表をお持ちいただけると診断の助けになります。
加えて採血データを判断の目安にしますが、実は採血データだけでは診断がつきません。採血データが高くても食べられる患者さんも多数経験していますし、逆に採血データはわずかな上昇でも実際に食べてみると強いアレルギー症状を起こす患者さんも多数経験しています。つまり、現時点では残念ながら採血だけで食べられる・食べられないの正確な判断は出来ません。
あとは患者さんの皮膚にエキスを垂らし、それを専用の針で突っついてわずかにエキスを皮膚にしみこませて反応を見る検査もあります(プリックテスト)。これもある程度使えますが診断の決め手にはなりません。
そうなると、結局「食べてみないと分からない」のです。そのために現在食物アレルギーの専門家は実際に食べてもらう=経口食物負荷試験を行っています。
ただし、実際に食べてもらうと言っても明らかに強い症状が出そうな状況で行うのは危険ですし、逆に明らかに自宅で試してもらっても大丈夫だろう、という状況もあります。どの状況なら危ないからやめておいた方が良い、どの状況なら(自分の病院・クリニックで)負荷試験が出来るか、どの状況なら自宅で食べてもらってOKかという判断は良く言えば専門家の腕の見せ所、悪く言えば誰もが納得できる基準がないというところです。
院長は2015年に304件、通算でのべ1500人近くの負荷試験を主治医として(=患者さんに対して直接責任を持つ立場で)行っており、この数は同業者の中でも多い方であると自負しています。知識と経験から負荷試験の対象者はより適切に選ぶことが出来ています。
当院近郊で食物アレルギーでお悩みのご家族の方、宜しければ気軽に当院にご相談ください。
多くの方は当院で対応可能ですし、非常に重い方(例:小学生になっても強い牛乳アレルギーが残っているけとどうしても治したい、卵で強いアレルギー症状が何度も出ているけど早く卵が食べられるようになりたい)についてはその方にとって適切と思われる専門施設をご紹介させていただきます。
以上の話は、一般的な小児科専門医、かつアレルギー専門医の現時点での共通認識と院長は理解しています。ただし、食物アレルギーに関してはまだまだ分かっていないことが多く、結果的に上記の話しが覆される可能性は残っています。
この10年余りで常識が逆転した分野を専門としているだけになおさら、常に勉強会や論文雑誌などで勉強し、知識をアップデートして皆さんに(当クリニックとして)最良の医療を提供していくことが大事だと常々考えております。
以上、食物アレルギーの話はいかがだったでしょうか。
一般の方向けのつもりで難しい言葉は最小限にしてなるべくわかりやすい様に書いたつもりですがいかがでしょうか?細かい内容について聞きたい方は是非当院にご相談ください。
次回は上の余談でちょっと触れた、「保護者が学ぶためのお手伝い」について記す予定とします。
いつの間にか大晦日になってしまいました。
十日市場こどもクリニックの内装工事も始まりました。今はまだ白いシートに囲まれて中が見えないようですが、春になれば中が覗けるようになるかもしれませんね。
十日市場ホーメストプラザ2階東館、エレベータに向かって右側が十日市場こどもクリニックの場所になります。 |
斜めでわかりにくいかもしれませんが、ロゴマークと2016年5月開院予告のポスターが張ってあります。 |
入り口の左側だけでなく右側にも張ってあります。 |
さて、今回は十日市場こどもクリニックで出来ることその2:食物アレルギー診療についてです。
食物アレルギー診療のポイントを書くと以下の3つになります。
1. 赤ちゃんの湿疹はなるべく早く、しっかり治したい
10年近く前から言われ始めた話ですが、赤ちゃんの肌が荒れていると、肌から直接食べ物が体に吸収されやすくなります。そうなると食物アレルギーが起きやすくなるというのです。
逆に、食べ物を口から食べて吸収されると食物アレルギーが起きにくくなると言われています。現在、専門医ではアレルギーがある食べ物でも適切な量(これが大事!)を少しずつ食べ続け、増やすことによりたくさんの量が食べられるようになるという治療が行われるようになっています。
まず皆さんが出来ること、お願いしたいことは「赤ちゃんの湿疹はなるべく早く、しっかり治しましょう」ということになります。
赤ちゃんの湿疹が出てきて、顔や首が紅くなって気になるようでしたら近くの小児科でも皮膚科でも結構ですので是非受診し、相談してください。
※余談ですが、院長自身は「迷ったときに念のため受診」というのは基本的に良いことだと考えています。今時はネットで情報を集めることが出来ても、どの情報が正しくて自分のお子さんに当てはまるかわかりにくい時代です。かといって周りに気軽に相談できる方も少なくて困っているというご家族もよく見受けます。そういう場合はまず小児科、当院で相談してもらっても構いません。結果的に何でも無い、様子を見て良いからそれに超したことはありません。
その代わり、その経験からご家族は子育てについての知識を学んでいただきたいと思いますし、「保護者が学ぶためのお手伝い」を当院ではしてきたいと考えております。
2. 食べ物の制限はなるべく少なくする:「必要最小限の食物除去」
10年以上前は食物アレルギーが疑われるととにかく食べるのをやめておく、そうすればそのうち治る、、、といわれていました。しかし、現在ではこの考えはほぼ否定されています。
逆に、例えば生卵丸ごと1個食べるとアレルギー反応で体が紅くなったり咳が出るお子さんでも、火が通った卵がわずかに含まれる卵ボーロや揚げ物の衣程度だったら食べても症状が出ない方が多いです。食べても症状が出ないと分かっている量であれば少しずつでも食べておいた方が食物アレルギーが治りやすい、というのが最近の考えです。
つまり、食物アレルギーに関しては10年以上前の「常識」が逆転しています。
3. 食べられるかどうかは結局食べてみないと分からない:経口食物負荷試験
食物アレルギーを疑った場合に一番大事なのは病歴、つまり「いつどんな物を食べて、その何分後にどんな症状が出たか」ということです。実際に食べたものの献立、成分表をお持ちいただけると診断の助けになります。
加えて採血データを判断の目安にしますが、実は採血データだけでは診断がつきません。採血データが高くても食べられる患者さんも多数経験していますし、逆に採血データはわずかな上昇でも実際に食べてみると強いアレルギー症状を起こす患者さんも多数経験しています。つまり、現時点では残念ながら採血だけで食べられる・食べられないの正確な判断は出来ません。
あとは患者さんの皮膚にエキスを垂らし、それを専用の針で突っついてわずかにエキスを皮膚にしみこませて反応を見る検査もあります(プリックテスト)。これもある程度使えますが診断の決め手にはなりません。
そうなると、結局「食べてみないと分からない」のです。そのために現在食物アレルギーの専門家は実際に食べてもらう=経口食物負荷試験を行っています。
ただし、実際に食べてもらうと言っても明らかに強い症状が出そうな状況で行うのは危険ですし、逆に明らかに自宅で試してもらっても大丈夫だろう、という状況もあります。どの状況なら危ないからやめておいた方が良い、どの状況なら(自分の病院・クリニックで)負荷試験が出来るか、どの状況なら自宅で食べてもらってOKかという判断は良く言えば専門家の腕の見せ所、悪く言えば誰もが納得できる基準がないというところです。
院長は2015年に304件、通算でのべ1500人近くの負荷試験を主治医として(=患者さんに対して直接責任を持つ立場で)行っており、この数は同業者の中でも多い方であると自負しています。知識と経験から負荷試験の対象者はより適切に選ぶことが出来ています。
当院近郊で食物アレルギーでお悩みのご家族の方、宜しければ気軽に当院にご相談ください。
多くの方は当院で対応可能ですし、非常に重い方(例:小学生になっても強い牛乳アレルギーが残っているけとどうしても治したい、卵で強いアレルギー症状が何度も出ているけど早く卵が食べられるようになりたい)についてはその方にとって適切と思われる専門施設をご紹介させていただきます。
以上の話は、一般的な小児科専門医、かつアレルギー専門医の現時点での共通認識と院長は理解しています。ただし、食物アレルギーに関してはまだまだ分かっていないことが多く、結果的に上記の話しが覆される可能性は残っています。
この10年余りで常識が逆転した分野を専門としているだけになおさら、常に勉強会や論文雑誌などで勉強し、知識をアップデートして皆さんに(当クリニックとして)最良の医療を提供していくことが大事だと常々考えております。
以上、食物アレルギーの話はいかがだったでしょうか。
一般の方向けのつもりで難しい言葉は最小限にしてなるべくわかりやすい様に書いたつもりですがいかがでしょうか?細かい内容について聞きたい方は是非当院にご相談ください。
次回は上の余談でちょっと触れた、「保護者が学ぶためのお手伝い」について記す予定とします。
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