今日は。
まず最近の当院の状況ですが、おかげさまで当日予約が満員になることが多いです。
一般診療の時間帯では花粉症の症状が出始めている方がいらっしゃるのが気になります。
発熱・感染症外来の時間では新型コロナウイルス感染症の方が減り、代わりにインフルエンザA、いずれも陰性の方(普通の風邪)、胃腸炎の方、そして季節外れの手足口病の方をよく診察しております。
寒くて体調を崩しやすい季節なので体調管理にはくれぐれもお気をつけください。
なお当院受診を希望なさる方はお手数をおかけしますが必ずWeb予約、Web問診を入力してからご来院ください。
2月上旬は一時的にアレルギー外来の予約が減るため、その分当日予約の診察枠を増やすことが出来そうです。
宜しければ是非御利用ください。
当院は開院して以来十日市場地域の小児科専門クリニック、そして周辺地域も対象とした小児アレルギー専門クリニックとして診療を続けています。
小児アレルギー専門クリニック、地域の小児科専門クリニックとして以前から気になっていることを書いておきます。
得てして20年以上前から、多くの医師からアレルギーは「命に関わることが少ない」と見なされており、軽視される傾向にありました。
10年ほど前には専門医改革の議論の中で「アレルギー専門医」という正式な資格が無くなりかねない状況になったことがあります。
しかし実際には気管支喘息の大発作で亡くなるお子さんもいらっしゃいますし、2012年末には調布市で牛乳アレルギーのお子さんが給食で亡くなられた事件も起きています。亡くなられる方の陰には多くの、命は助かっても重度の後遺症が残ってしまう方、結局数年後に亡くなる方がいらっしゃいます。その陰には危ない目に遭っている患者さんが本当に多数いらっしゃります。
そして食物アレルギーや花粉症、アトピー性皮膚炎も含めてアレルギーで困っている患者さんは沢山いらっしゃいます。
以前より減ってきていますが気管支喘息で困っているお子さんも未だに沢山いらっしゃいます。
命に関わるところまで至らなくてもアレルギーによって健康を保てない、生活に困っている多くのお子さんや親御さんのお役に立てればと思い、当院では小児アレルギー診療を続けています。
更には最近ではアレルギーが出る前に、アレルギーを予防することを念頭に置いて十日市場地域のお子さんたちを小児科クリニックとして普段から診療しています。
また昔も今も「アレルギーはどこでも診られる、誰でも診れるべきだ」と仰る先生が多数いらっしゃいます。確かにアレルギーの患者さんは沢山いらっしゃり、多くの医師は普段からアレルギーを持つ患者さんを診療しています。
診療科目をどう標榜、表示するかはその先生の自由であり、ちまたには専門施設で修行してアレルギー専門医を取得していなくても、勤務医時代にはアレルギーの患者さんを多数診ていないのに開業時には「アレルギー科」を名乗っている先生方が多数いらっしゃいます。
専門医制度の改革により今後変わる可能性がありますが、今までのアレルギー専門医は条件がかなり緩いため普段アレルギーについて学び、普段はアレルギーの患者さんを診療していない先生でも資格を取得し標榜することが出来ていました。
その結果「名ばかりアレルギー科・アレルギー専門医」がちまたにあふれる現状となっています。
特に食物アレルギーで困ってアレルギー科を標榜したクリニックを受診されても実は「名ばかりアレルギー科・アレルギー専門医」であり、適切な対応がとられず状況がどんどん悪化してしまう方、困って当院を受診される方が最近でも相当数いらっしゃいます。
当事者である「名ばかりアレルギー科・アレルギー専門医」の先生方もおそらく悪気は無いのだと思います。ただ、アレルギーは得てして結果がその場ではっきり出るものではないうえにこの10年余りで常識が部分的にひっくり返った分野です。少なくともアレルギー科を名乗るのであればリアルタイムで十分に勉強して理解していないと結果的に逆の、不十分な対応になっている可能性があります。
医者、専門医に限らず専門家、プロフェッショナルは「その分野に精通している」が故に「自分の限界を知っている、わきまえている」ことも大事だと常々考えております。
少なくとも当院ではどの範囲まで対応出来るか、目の前の患者さんと親御さんにとって当院で診察を続けるのが最善なのか、それともより適切な他院にお願いした方が良いのかを常に考えて診察に当たっています。
例えば重症の牛乳アレルギーの方、乳成分が微量含まれる食べ物を1口食べただけで体が赤くなり咳が出てゼーゼーしてしまうような方はアレルギー専門医が複数在籍する専門施設で定期的に診療し、適宜負荷試験や治療をしてもらうべきです。
複数の食べ物でアレルギー症状が出る方は上記の「名ばかりアレルギー科」ではなく本物のアレルギー専門医が定期的に診療し、摂取制限を解除出来る範囲内は解除していくことが必要になります。この程度であれば大抵当院で対応可能ですし、当院では対応が不十分と判断した場合は遠慮無く専門病院に紹介させていただいています。
逆に遠方からわざわざ通院していただいていたけれど食物アレルギーが無事に治り(寛解し )、あとは皮膚の治療をしておけば良い場合は最早当院にわざわざ通う必要はなくなり、近くの皮膚科や普段かかりつけの小児科の先生に受診していただければ十分とお話ししています。
食物アレルギーが治って皮膚の治療のみになっても当院を気に入っていただき引き続き通院を希望される患者さんも有り難いことにいらっしゃいます。また勤務医時代から10年以上定期診察を続けさせていただいている患者さんも十数名程度いらっしゃいます。その場合は当院の通院継続が親御さんや本人にとって明らかな負担、デメリットがないと判断した場合はなるべく当院で引き続き診察を続けています。
また、プロフェッショナルを名乗る以上常にその分野の勉強、アップデートが必須です。
最先端とは行かないかも知れませんが当院ではなるべく新しい情報を手に入れて、少しずつ診療のアップデートを心がけています。
もう1点記載しておきます。
当院は診療になるべく「責任」を持つように心がけています。
例えば遠方に転居するけど引き続き専門医の診察が必要な場合は患者さんとって適切な適切な病院を一緒に探し、紹介状を作成しお渡しすることが多々あります。
※紹介状作成には1週間ほどお時間をいただく場合が多いのでその点はご承知下さい。
重症や珍しい食物アレルギーなどで当院よりは専門病院での診察・治療が適切だと判断した場合も躊躇せず親御さんにお話しし選択肢をお示しし、ご希望があればご紹介させていただいております。十日市場地域から無理なく通える範囲内には横浜労災病院、国立相模原病院など小児アレルギーの患者さんを安心してお願い出来る病院があるのでとても助かっています。
一方当院ではWeb予約・Web問診をご入力頂き予約時間(順番)通りご来院いただいている多くの、全ての患者さんに対して平等に、かつ極力適切な小児科・アレルギー科としての診療を全力で行うように心がけております。
Web予約・Web問診がどうしても苦手な方は当院の通院継続は大変かもしれません。
また院長とどうしてもウマが合わない、信頼関係を築ける自信が無いという方は診察時に遠慮せず仰っていただければ、私の不徳の致すところで申し訳ないと思いつつも当院が安心してご紹介出来る、なおかつ患者さんにとって最善と思われる病院・クリニックに極力責任を持ってご紹介させていただいております。
また、定期的な受診、診察が必須と判断しているのに時間が合わないなどの理由でどうしても定期的に受診していただけないなどの理由で当院として患者さんの治療、安全に責任が持てないと判断した場合は診察時にご相談のうえ現実的に通院可能であろう他院に紹介させていただく場合が実際にあります。
当院は小児科とアレルギー科のプロフェッショナルですが、小児科という大きな診療範囲の中では小児アレルギーと同様に例えば心臓(小児循環器)や低身長(小児内分泌 )、てんかん(小児神経)など専門(サブスペシャリティ)分野も多々あります。
小児科クリニックの立場としてお子さんの困りごとがあれば、まず入り口として当院を受診していただいて構いません。小児科の範囲内でも明らかに専門医による検査・治療が必要と判断した場合には適切と思われる病院・クリニックを紹介しています。
また当院では診察前にWeb問診を入力していただき、その内容を診察前に確認出来て明らかに他のクリニックを受診した方が良いと判断した場合には当院にご来院いただく前にどの科を受診すべきか、メールをお送りしています。
当院での診察の結果、例えばアトピー性皮膚炎やとびひ(伝染性膿痂疹)、水いぼ(伝染性軟属腫)以外の見慣れない皮膚の状態であり当院よりは皮膚科の先生に診察してもらった方が適切な診断・治療が受けられると判断した場合は遠慮無く皮膚科の受診をお勧めします。当院の隣にちゃんとした皮膚科クリニックさんがありますので、「是非お隣にはしごしてください」とよくお話ししています。
風邪で受診された患者さんに中耳炎もありそうと判断した場合には近隣の耳鼻科クリニック受診をよくお勧めしています。
医療過疎地域であればなるべく1つのクリニックで治療を完結させるべきだと思いますが、幸い当院の周りにはほぼ一通りの科の先生方がいらっしゃるので、当院に来院されたお子さんに対しては適切な治療を受けられるべく振り分ける役割も担っているつもりです。
当院は今後も十日市場地域の小児科、そしてアレルギーのプロフェッショナルとして診療を続けていきます。
よろしくお願い申し上げます。
※ 2023年1月31日追記
例えば食物アレルギーのあるお子さんはアレルギー専門医しか診るな、専門家以外の家庭医、アレルギー専門医でない一般小児科医が診るなと言うつもりは全くありません。
軽症の卵アレルギーの患者さん、炒り卵を沢山食べたときに口の周りに少しブツブツが出る程度であれば、アレルギー科を標榜していない先生でも十分な知識とある程度の経験があれば定期的に診察して経過を追っていくのは全然問題ないと思います。
ただ、専門家であってもそうでなくても患者さんを診察する医師は、「目の前の患者さんに対して自分が診療を続けた方が良いのか、それとも自分以外の専門家にお願いした方が良いのか」の見極めはなるべく適切にすべきだと思いますし、当院では常にそのことを考えながら診療を行っています。
コメント
コメントを投稿