今日は。
明日で当院は開院6周年を迎えます。
当院が開院して間もなく、赤ちゃんの頃を当院を受診して下さっているお子さんの多くは今年から小学生になっています。
お子さんの成長と同様、この6年間はあっという間に過ぎて行きました。
せっかくなので開院後の6年間の雑感を書いておきます。
★感染対策
この6年で当院の体制に変化を起こした出来事として、全ての方の生活に影響があった新型コロナウイルス感染症の流行が筆頭に挙げられます。
現時点では新型コロナウイルスまだ「うつしあいをなるべく防ぐべきウイルスである」と判断しています。
開院以来当院では患者さんのニーズにお応えする形で診療時間を変更してきましたが、2022年1月末より一般診療を風邪症状のある方とそうで無い方の2つの時間に分割しました。
新型コロナウイルス感染症の症状で発熱、咳、下痢、鼻汁が多いことが分かってきたのでこれらの症状がある方とそうで無い方を分けて現在は診療を行っています。
いずれの時間帯も感染対策、うつしあい対策には十分気を付けて診療しておりますので発熱外来でも怖がらずに(!?)是非ご来院下さい。
実は受診枠を分割することなどにより以前より一般診療や発熱外来で診察出来る患者さんの数が減っています。
コロナ禍が落ち着いて以前の様に一般診察の時間帯を分割する必要が無くなればもう少し多くの患者さんを診られるのだが、、、と一般診療や発熱外来の予約が満員御礼になる度に感じております。
一般診療や発熱外来の予約は皆様が平等に「早い順」で取れるようにしておりますので引き続き皆様の御利用、ご来院をお待ち申し上げます。
★Web問診
2019年より当院ではWeb問診を導入しています。
当院は比較的早期にWeb問診を導入したクリニックであると自負しています。
Web予約とWeb問診を併用することにより診療がより効果的・効率的に行えるようになりました。
この件は当院HP「はじめての方へ」や院長のインタビュー記事に詳しく記載しておりますので興味のある方はこちらを是非ご参照下さい。
Web予約、Web問診必須の体制には苦手意識を感じる方、異論のある方もいらっしゃるとは思いますが、当院を受診して下さる多くの患者さんの安全を守り、かつ効率的・効果的な医療を提供するためには有効な手段ですので引き続き御理解、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
なおオンライン教育(e-learning)のプロを養成する大学院で学んだ経歴があるのでオンライン教育の特長、長所と限界はそれなりに認識しています。
Web問診だけでなくオンライン教育とかなり類似点が多い Web診療にも興味はありますが、こちらはまだ導入することによる当院側と患者さん側のメリットが十分でないと判断しています。
既にWeb問診を導入しているのでWeb診療と連携できるとかなり効率的な診療が出来そうですが、機が熟ればこのシステムが適切な患者さんには導入したいと考えています。
★食物アレルギーは予防する時代になりました
開院当初から十日市場および周辺地域の食物アレルギーの患者さんの状況をどうにか改善したいと考えていたので、当初から確定診断、閾値判定(どのくらい食べられるか判断するため)の経口食物負荷試験には積極的に取り組みました。
初年度で80件、2年度目には100件を超える負荷試験を行っていました。 この数字は開業医の中では比較的多い方のはずです。
しかしこの2年ほどで負荷試験の数は激減しました。
コロナ禍になって負荷試験をやりづらくなったという理由も間違いなくあります。
でもそれよりは最早「当院かかりつけの方に関しては負荷試験が必要な方が激減した」という要素の方が大きいです。
当院が開院してから「赤ちゃんの乳児湿疹、乳児アトピー性皮膚炎をこまめに丁寧に診察して徹底的に治療すればほとんどの食物アレルギー、特に卵白アレルギーは防げる」ということが分かってきたからです。
実際に予防接種などでご来院いただいた患者さんの皮膚を確認し、必要ならすぐに治療を開始しています。
当院に定期通院していただき適切な対応が出来ている患者さんにおいては食物アレルギーの患者さんはほとんど出なくなりました。
ようやく牛乳アレルギーの予防方法も分かってきましたので今後はこちらも加えて治療を行って行きます。
生まれた直後に産院で人工ミルクを使用したかどうかによりその後の対応か変わります。
最近はナッツアレルギーや卵黄アレルギーも増えつつあります。卵黄アレルギーはまだ分からない事が多いですがナッツアレルギーも(症状が出た方の治療は難しいのですが)卵白アレルギーと同様の対応で予防が出来そうなので今後注力していきます。
また、食物アレルギーがある方は負荷試験を行って摂取量を調整していたのですが、最近ではこまめに受診していただき相談しながら自宅で慎重に摂取量を増やしていただくことにより大半の方が相当量を接種出来るようになってきています。
つまりコロナ禍の影響もありますが食物アレルギーの予防が出来るようになったこと、加えて負荷試験をしなくても摂取可能な量が把握出来るようになったので経口食物負荷試験の回数が激減しました。
正直こんなに負荷試験をしなくて済むようになるとは開院当初は全く予想していませんでしたがどちらかというと食物アレルギー診療が進歩した結果だと個人的には捉えています。
なお、経口食物負荷試験に関しては今後も必要な患者さん、特に「食べないと分からない」患者さんには行います。(現時点でも数件予約が入っております。)
引き続き十日市場地域および当院に通院が可能な周辺の地域にお住まいのお子さんで食物アレルギー(疑い)でお困りの方はお気軽に受診していただければ幸いです。
食物アレルギー診療の経験が豊富な専門医として引き続き対応させていただきます。
★アレルギー性鼻炎(スギ・ダニアレルギー)に対する舌下免疫療法
これも開院してから開始した治療です。
開院前から皮下免疫療法があり、一部の施設では行われていました。
これは非常に有効な治療なのですが毎週注射が必要で当院側も患者さん側も手間がかかり、危険性もある治療なので専門施設にお任せするつもりで当院では行っていません。
比較的手軽で副作用も少ない舌下免疫療法であれば当院でも可能と判断し、開院初年度の年末より当院でも治療を開始しています。
今では数百人の方に舌下免疫療法を行いノウハウもかなり蓄積しています。
無事に治療を終了出来た方も出始めています。
最近問題になってきたのはアレルギー外来、特に土曜日午後の予約枠がパンクしてきたことです。
当院では開院当初から定期通院が必要な方のために完全予約制のアレルギー外来を設定しています。このシステムは上手く機能していると感じています。
ただ土曜日午後は舌下免疫療法をご希望され定期通院される患者さんが多いのですが、予約枠がパンク状態になってきました。
まず皆様には平日に受診可能な方は平日に受診していただく様にお願い申し上げます。
それでもパンク状態が続き皆様にご迷惑がかかるようであればまず土曜日午後アレルギー外来枠には制限をかけざるを得ないと考え始めています。
平日であればまだまだ患者さんの定期通院を承ることが可能ですのでスギ花粉症や通年性のダニアレルギー症状でお困りのお子さんと親御さんの受診を引き続き承ります。
★当院の基本スタンス:診療時間内に出来る診療・医療を全力で行います
これは開院後に多くの患者さんにご来院いただき診療を続ける中で確立してきたスタンスです。
知り合いの多くの先生方は「受診を希望される方は何時間待ちになってもとにかく診療する」スタンスで診察を行っています。
患者さんに向き合うその姿勢と体力には尊敬の念が絶えません。
一方、当院はそうすべきではないと考えております。
まず院長自身の体力は底なしではありません。
一般の方の中ではそこそこ体力がある方だと自負していますが休みなくエンドレスに診療を続けてかなり疲れてきたときには集中力、そしてプロフェッショナルの小児科専門医・アレルギー専門医として皆さんに安心して受診していただける診療水準が保てる自信はありません。
実際に昨年度は不本意ながら体調不良による休診を繰り返してしまいました(いずれも新型コロナウイルス感染症ではありません、念のため)。
突然の休診で皆様にご迷惑をおかけするのは非常に申し訳ないですし、更に言えば無理がたたって志半ばで急に閉院せざるを得ない状況になるのは本末転倒です。
なので、当然ながら体調管理には重々気をつけておりますがその上で長期的にプロフェッショナルレベルとしての診療を続けるように、診療時間内は全力を尽くすが無理はしないというスタンスで診療を続けるつもりです。
また、当院のスタッフの大半は家庭と仕事を両立させて働いています。多くの親御さんもそうだと思いますが時間外にいつまでも働かなければならない、いつ帰れるか分からない状況が続くようでは家庭とのバランスが保てず、その結局仕事を続けられなくなります。
スタッフが入れ替わり続けるようであれば安定した診療が提供しづらくなり、結果的にご来院いただいている多くの患者さんにご迷惑がかかります。
なので、当院は長期にわたり十分な水準の医療が十日市場地域やかかりつけの患者さんに提供し続けられるような無理のない体制で今後も診療を続けます。
Web予約が取れなかった方は残念ながらその日の当院の診療能力をオーバーしてしまっていると判断してください。
原則的にスタッフによる電話でのご相談は可能な限り承りますが、当院のWeb予約が取れなかったがどうしても早めに受診したい方は他院の受診をお願い申し上げます。急ぎで無い方は改めて後日の受診をお願い申し上げます。 (※極力当院で対応したい状況が起こりうる場合は予めその患者さんと保護者の方に伝えております。)
夜間の問合せも院内に院長が残っている場合、対応可能な場合はなるべく承っておりますが常に対応出来ているわけでは決してありません。
以上、ご承知おき下さい。
★今後の課題:ホームケアの充実、情報提供(保護者教育 )
たとえばアトピー性皮膚炎の方の診療はざっと診察して外用薬をお出しするだけであればすぐに終わりますがそれだけではなかなか皮膚の状態が良くならない方が多いです。薬をお出しするだけでなく使い方、スキンケアの方法までしっかり確認し必要なことはお伝えし、自宅で実践してもらうことにより初めて適切な治療が成り立ちます。
現時点では院長自らが丁寧にお話ししていますが、結果的に時間がかかり多くの患者さんをお待たせすることがしばしばあります。
他院の治療でなかなか良くならず当院を受診される方も相当数いらっしゃるのでプロとしては手を抜かないようにしていますが、もっと効率的で効果的なよい方策があるのではと常々悩んでいます。
開院当初は対面形式、その後zoomを用いたスキンケア教室や食物アレルギー教室を開催していましたが今後どのような方向で行うべきか考え中です。
最近こちらの方は滞っていたので今後の課題です。
色々書いてしまいましたが皆様のおかげで十日市場こどもクリニックは何とか6周年を迎えることが出来ました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
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